●あとがき 幼い頃に憧れて身近だった物や人が、大人になるにつれて何となく 
「距離感」や抵抗感が生じてしまうという経験はありませんか?拙書では仏壇を擬
人化することで、仏壇との「距離感」と「特別感」について考えてみました。
 筆者は幼少時、菓子やタオルが入っていた空き箱を立てて、その中にシルバニア
ファミリーの人形を飾ったりヤクルトの容器を供えたりして、「仏壇ごっこ」をし
ていました。純粋かつ無邪気に「きれい」「かっこいい」という仏壇への憧れから
生まれ、飾る行為を楽しむ真似事でした。しかし歳を重ねるにつれて「仏壇は高価
で精密な物」、「お参りには決められた正しい作法・所作がある」ということを知
り、仏壇自体が何となく遠い「距離感」のある存在になっていった感覚があります。
 おもちゃやぬいぐるみは親近感を醸成して「距離感」を縮めます。しかし、仏壇
や仏様のおもちゃやぬいぐるみはあまり見かけません。ここに仏壇の放つ、気安く
ない、汎用されるものではない、独特の「特別感」が際立ちます。故に、本来は日
常的で身近な存在であるべき仏壇が、意識せずとも遠い距離にある存在になってし
まうことは残念かつ勿体無いことです。逆転の発想で、「特別感」から「距離感」
を縮めるには、まずは仏壇と「仲良し」の関係を築くことから始まると思うのです。
 拙書があなたと仏壇の「距離感」を少しでも縮め、生活の身近に「特別感」のあ
る空間と時間を作り出すきっかけや一助になれれば幸いです。

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   モナカンのほん⑱ おぶつだんとなかよし